中西美沙子
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アンディー・ウォーホル「5本のコークの瓶」

 エンパイアステートビルを、延々と映し続ける映像を見た。ずいぶん昔のことであるが、今でも印象に残っている。ポップ・アートの画家ウォーホルの実験的な映像であった。その極めて退屈な映像は、日常の持つ空虚さを感じさせた。
 私たちは映像の中に「物語」を見て、安心をする。だが、その「物語」は「物語」に過ぎず、平明で取り留めのない日常からの逃避では、と彼の映像は語りかけた。
 ウォーホルは、大量消費される物や有名人をモチーフにした作品を多く手がけた。マリリン・モンローやコカコーラ、キャンベルスープの缶は、アメリカを象徴するものである。しかしそれらは、芸術の伝統としてのモチーフではなかった。彼はアメリカ的な消費生活がもたらす感覚を愛したと言える。その愛情は、膨れ上がる欲望と退廃がもたらす時代が作りあげた、新たな美へと注がれていた。「美」は「日常」とともに、いかに「退屈」なものかを、彼は発見したのだ。

 

浜松百撰 2009年7月号

 

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