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「あきかぜ」に優しさ感じる

袴田優里子(高3)

 「秋風という漢字ひとつとっても、意味と音、さわさわとした葉ずれの両方が伝わってきます」。これは、先日亡くなった金田一春彦先生の言葉だ。「あきかぜ」。今まで聞き過ごしてきた言葉が、まるで生命を得たかのように響いてきた。
  言葉は、人類の最大の宝だと感じる。ただの音の集まりなのに、それは意味を持ち、人に感動を与える。何千年にもわたって言葉が、物語が、伝説が、言葉によって今に伝えられているのだ。たった一言、「空」と発音するだけで、私はモンゴルの空までも見ることができる。イラクの空までも。そんな大きさが、言葉にはある。
  「あきかぜ」。その言葉をひとつの自然のように感じた。今まで文明の象徴のように思っていた「言葉」だけれど、そこからは人口のもの、というイメージは伝わってはこない。
真っ赤な夕焼けや、水平線を見た時のような、どこか優しい気持ちを感じる。
  そんな日本語が今、乱れている。それは日本人の心が乱れているせいかもしれない。
言葉はいつの時代も、人の生き方を表しているのに。

中日新聞
2004年6月13日掲載

 

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