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ごあいさつ
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睡蓮の花のやうにわらひながら ふたりがこっちへあるいてくる その蓋のある小さな手桶は
けふははたけへのみ水を入れて来たのだ
―――――――宮澤賢治『春と修羅』より
私は「言葉」に興味があり、言葉と関わって生きてきました。
「言霊(ことだま)の幸(さきは)ふ国。(万葉集)」―――言葉で幸福になる国―――と、遠い私たちの祖先は考えていました。言葉には人の力を超えた霊力があると。
現代。言葉は、ただただ透き通って、重さのない軽い存在になりつつあります。人間が、言葉から消え始めているのです。
「言葉の力」を探りながら、私がやってきたこと。そして今も、これからもやろうとしていること。
それは私が失ったものを探す旅でもあり、希望を問い続ける意思の形でもあります。
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