ポップアートの旗手の輝かしい一人に、ジャスパーがいる。彼の表現は決して新しいとは言えない。ポップアートは、突然生まれたのではない。ダダイズムや超現実主義などを経て、必然として成ったのである。特にダダは、既成の表現や価値観を破壊することで耳目を集めた。 絵画は時代に先行する、という論がある。だが多くのアートは、時代に束縛されている。 ジャスパーの表現もまた、アメリカの物質的な反映と相似形であるようだ。だが彼の斬新さは、即物的な抒情と記号そして遺棄された物の調和である。色は濁りをたたえ、黄色や青などの記号が二重にその色を強調し、捨てられたアメリカ的な物品が、一つの世界を構成している。それは未開人の不思議な表現と似ている。「ブリコラージュ」は、機能を失ったものたち、鳥の羽や木屑などを寄せ集め、貼り付けたりして作られる。意味の彼方に表現の核があることを感じさせる。その末裔にジャスパーがいるのだ。
浜松百撰 2010年4月号 |