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「やさしい国」目指そう日本

田中愛莉(小6)

 「命と同じくらい大切品々が入っていたんです。何とか取り戻したい」
 電動車いすに乗った障害者の男性が、若い女の子二人組みに、かばんをひったくられたという新聞記事を読んだ。その時、私は胸がしめつけられる思いだった。彼のかばんには、現金や障害者手帳などのほかに、彼にとって大切な手紙が入っていたそうだ。
  笑い声をあげながら去っていった二人の女の子を、彼はどのような目で見たのだろう。きっと、すごく悲しくて、さびしい思いをしたことだろう。「誰か・・・」と叫ぼうとしても声が出ず、車いすに付いている警報音のスイッチを押す間もなかったそうだ。
 「許せない!」私はひったくった二人にそう言いたい。その人たちは「おもしろそう」という気持ちでやったに違いないけれど、被害にあった男性がどう思うのか、考えてほしかった。
 今の日本には「やさしさ」と「思いやりの心」が足りないと思う。そんな心があれば、恐ろしい事件はなくなるだろう。
 私が大人になる十年後、日本は「やさしさ」と「思いやり」がある国になっているだろうか。そうなっていてほしい、と私は願っている。

中日新聞
2004年4月22日掲載

 

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