中西美沙子
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ケガで知った周囲の優しさ

足立千春(小5)

 私は学校の遊具で、右足の中指を骨折した。痛かったし、うまく歩けないし、くつもはけない。サンダルで三週間もすごした。たいへんだった。みんな心配してくれた。家族も友達も、ふだんよりやさしい声で「だいじょうぶ?」と言葉をかけてくれる。心配そうに私を見てくれている目を感じた。みんなと外で遊べない。体育の授業も見ているだけ。けがしていると何もできないんだなあ、とつまらなかった。
 でも体育の授業の時、私がみんなを見ていると、みんなも私を見てくれているのに気がついた。にっこり笑ってくれる子もいた。すごくうれしかった。けがをしてまだ痛かった時は、友達は外に遊びに行かないで、私のそばにいて話をしたり、じゃんけんをしたり、絵をかいたりしていた。となりに住んでいるおばあちゃんも、毎日家に来てくれ、私の顔を見る。
 元気な時には気がつかなかったやさしさが、よくわかった。骨折が治るまでに、もう一ヶ月半かかると、お医者さんに言われた。でも、だいじょうぶ。みんなのはげましが、私の心にひとつの花をさかせてくれたから。

中日新聞
2004年7月12日掲載

 

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