感動や思い出 心の中に保存石井奈津美(中2) 「旅先で撮った写真が、どこかその時の素晴らしさを表しきれないと感じるように、自分だけの感動や思い、一瞬の美しさは形として保存できないのでは」。これはスヌーピーの本の中に言葉です。
私は「THE ドラえもん展」を見に行きました。デパートでやる展覧会なので、どんなふうなのかなあと思ったのですが、私の想像をはるかに超えた展示物に驚きました。入り口で音声ガイドを借り、おそるおそる中へ入りました。一番印象に残ったのは「私にとってのドラえもん」というテーマの展示でした。
芸術家が個性的な絵や写真や洋服、立体的な像など、あっと驚く物を作って展示してありました。私はいつしか、ドラえもんの世界に入り込んで、フワフワと気持ちが浮かんでいるようでした。
この時の素晴らしさ、自分だけの感動や思いや楽しさは、私にしか分からないし、形にして残すことはできません。写真やパソコンがあったとしても、です。でも形として保存できなくても、心の中にはちゃんと、大切に保存されているのです。人間ってすごいなあ、と思います。 中日新聞
2004年7月30日掲載 |