たこ揚がって気合も最高野田大将(小6) 空はくもって、風は吹かない。ぼくがタコ場に行った時は、どこの町も、タコが落ちてはあげ、落ちてはあげのくり返しだった。なかなかタコがあがらないから、大人は子どもにやらせてくれなかった。時間がたつにつれ、少しずつ晴れ、テレビや新聞に映るようなタコ景色になってきた。
ぼくの町のタコもあがる。やっとぼくがタコをあげる時がきた。まず、ラッパ隊が浜松まつりの音楽を吹き、「エイショー、ヤイショー」のかけ声に合わせてつなを引く。他のタコよりどんどんあがる。かんとくの「オーイ、引くぞ」の合図で、つなを持って円のようにまわる。どんどんぼくの近くにタコがくる。「エイショー、ヤイショー」。気合がはいる。
ついにタコがおりてきた、初子さんがタコの前に出てきて「エイショー、ヤイショー」。ぼくも、ねった。初子さんがうれしそうだった。ぼくも思わずうれしくなった。 中日新聞
2004年掲載 |