だれのためのエネルギー加藤義人(中2) 僕のスクラップブックが、厚くなった。半年前から、環境に関する新聞記事を切り抜き貼っていった。それが数冊になった時、僕は初めて父の言った言葉が分った。 父は、特殊な菌で塗料のかすを、発電エネルギーや肥料に再利用する仕事をしている。「俺たちは地球から取ることばかり考えてきた。何も返せていない」。これは父が、その仕事に取り組んで苦労している時に言った言葉だ。 切り抜きで、一番多く出てくる記事は、「地球温暖化」だ。その問題は人の命、そして生きもの全ての命に関わる。でも僕は、その現実を実感できないでいた。「怖い」と感じるのだが、それ以上想像力が膨らまなかった。 僕は地球温暖化とエネルギーとの関係を調べてみた。 人は昔、まきや水車、馬力をエネルギーとしていた。1650年ごろから石炭が使われるようになり、そのエネルギーを利用した蒸気機関車が、1814年に発明された。そして1878年、日本で最初の電灯が点火した。このころから、石油が使われるようになった。1900年には、アメリカで、ガソリンで走る自動車が普及していく。人間の進歩はエネルギーとともにあった。僕は文明は進化したのに、なぜ人間は自然と仲良く生きてこなかったのか、と思った。それは今の、「地球温暖化」に関わることだ。エネルギーの発見や多量消費によって人間の生活は豊かになっていった。でも、それに比例して地球環境が壊れていったことは、人間の問題だと分った。 アメリカを始め先進国は、エネルギーの大量使用のおかげで、大国になれた。しかしその豊かさは、壊れかけた地球の上での繁栄だ。地球が健康であってこそ、人は豊かに生きられるのに。「今が、あるいは自分たちだけが良ければいい」と言う、先進国の生き方はどうなのだろうか。地球が悲鳴を上げその悲鳴の先には、人間の叫びが待っていることを、想像できないのだろうか。地球はリハビリを待っていることを。だれのためのエネルギーか。僕は疑問に思った。 自分の環境スクラップから、僕は「想像すること」の大切さを知った。想像することが、末来を生きる人や自然、そして動物を守ることにつながっていくと感じたのだ。今自分ができることを、今、僕はする。車ではなく自転車を。ゴミを出さない工夫。3Rを守る。買い物はマイバックなど。こんな小さな行動でも、すれば、地球のリハビリになる。そして今僕ができることは、調べたことや「だれのためのエネルギーか」など、考え、知ったことを伝えていくことだ。いつか、スクラップブックの切り抜きから、嬉しそうな地球の声が聞こえてくるのを、僕は信じている。
イオン主催 2007年 「ドイツに学ぶエコライフ 作文コンクール」 入選作品
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