だれもが生きる権利がある野田大将(小6)
ある日、おばあちゃんとハンバーガー屋に行った。おなかがいっぱいになったから、ハンバーガーを捨てようとした。だがおばあちゃんはぼくの手を止め、ハンバーガーを捨てさせないようにした。おなかがいっぱいなんだから捨てたっていいじゃん。ぼくはわけがわからなかった。そしたらおばあちゃんが話してくれた。「昔は戦争をやっていてね。畑も焼けてしまって食べ物がなかったんだよ。」おばあちゃんは、食べ物がなくて「飢える」ということを知っていたのだ。だから食べ物を大事にするんだな、とぼくはわかった。 | |
今の日本には何でもある。もちろん食べ物だって。ぼくたちはそれが当たり前と思っているけど、日本だって六十年前には、飢えていたのだ。これからだって、そういう時代が来るかも知れない、とぼくは思った。
「日本の残飯率が五十%を越えた」という記事を読んでぼくは驚いた。「えーっ。食べる量よりも捨てる量の方が多いの?」と思ったのだ。地球上では数秒にひとりが飢え死にしているというのに。学校の給食。「残してごめんなさい」という表情もなしに、毎日たくさんの食べ物が捨てられている。コンビニやレストラン、ホテルでも、食べ物はどんどん、無造作にすてられていて、それはたちまちゴミになってしまう。どうしてそうなるのか、ぼくにはわからない。でもきっと、ぼくがハンバーガーを捨てようとしたように、今の人達は何も知らなくてそうしているのではないかな、と思う。地球上には飢えている人達がたくさんいるということ。日本ではこんなにたくさん食べ物を捨てているという現実を。
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夏休みに、重度心身障害児の施設にボランティアに行った。ぼくと同じ年の真人君は、おなかがすいても自分でご飯が食べられない。ぼくの昼ご飯と同じ物を、すべてミキサーでドロドロにして食べさせてあげる。口に入れてあげると真人君はうれしそうにニコッとした。ドロドロも食べられなくて、鼻からチューブを入れている子もいた。でもどんな形でも、ご飯を食べてみんな必死に生きていた。ぼくは飢餓の状況におかれている人達のことを考える。日本では、どんな障害がある人にも、みんなでサポートしている。それはだれでもが生きる権利があると考えているからだ。しかし飢餓におかれている国の人達は、生きる権利を見捨てられている。 |
飢餓が起こる原因には、ぼくのおばあちゃんが話していた戦争、それに自然災害や疫病、食べ物を買うお金がない、などいろいろある。ぼくは、何ができるのだろう。ぼくはまだ子供で、わからないことがたくさんあるし、今は何もできない。くやしいけど仕方ない。でもぼくは、今年の夏、飢餓について学び、いろいろなことを知った。もっと早く知りたかったと思った。今ぼくにできることは、ぼくが知ったことやぼくの思いを、できるだけみんなに伝えていくことだ。そして大人になった時何ができるかを、考えていきたい。 受賞の感想を述べる野田大将くん 国連WFP協会、WFP国連世界食糧計画
主催 第1回「世界の飢餓を考える」生徒作文コンクール WFP賞受賞作品 関連ページ:「Yahoo!きっず」内特集ページ [
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