住宅作りも時代の影響を強く受けています。大量消費時代の初めには、住宅メーカーの低コストで、画一的な居住空間が持てはやされました。その後、好景気を反映してかメーカー同士の差異化が起こったのです。「エコ」「家族」「耐久性」「耐震」「2×4」などの特徴を強調して販売促進を図りました。どれも重要な住概念です。しかし、このような謳い文句がどれほど「人の生活」に根ざしていたか疑問でもあります。概念が表面的なところに止まっていて「人の生活」が見えてこないのです。「人」が「どのように住むか」という基本が抜けている傾向があるのです。イメージやコマーシャルペースでは、「快適な暮らし」と「安全」が謳われていますが、「商品の差異化」と「販売促進」に止まっているように思えます。大量消費時代の住宅は、悪くいえば「お仕着せ住宅」です。住宅会社の「売りイメージ」を消費者は、受動的な立場で選択するシステムです。消費者に「住むこととは何か」を考えさせるのではなく、住宅展示場や建築雑誌での「あれか」「これか」の選択肢を提案する傾向にあります。消費者のニーズは部分的なオプションとしてしか扱われなかったのです。 |